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鼠径ヘルニア・脱腸の症状とは? 常陽リビング10月1日

常陽リビング10月1日号

鼠径ヘルニア・脱腸の症状とは?

Q; 最近、家族が大工の仕事中におなか、特に下っ腹・足の付け根・太もも周囲にしこりが出来て違和感があります。これは一体何ですか。医師の診察に行かせた方が良いでしょうか。

A; ご家族には、寝てから押すと引っ込んで治る、そこに違和感や痛みがありませんか。鼠径ヘルニアの可能性があります。まずは、医師の診察をお薦めします。
 ヘルニアとは、臓器が収まりきらなくなり本来あるべき場所から外へ異常な脱出をする状態のことを言います。下腹部や足の付け根の事を鼠径(そけい)部と呼びます。鼠径部から小腸と大腸などの臓器が腹の外に出る病気を鼠径ヘルニアと呼びます。 『脱腸』とも呼ばれています。
 鼠径ヘルニアの患者さんが自覚する症状は多彩に存在します。また、同じ病気でも人によって自覚する症状が異なることもあり、発見するきっかけも違います。鼠径ヘルニアの症状は重症度から順に、4つに大別されます。まず1つ目、鼠径部にしこりが出来て、まず違和感が生じます。当院の2021年の調べでは52%、約半数の患者さんが腹部のしこりを主訴に来院されます。2番目に鼠径部が腫れてきて、寝てから押すと引っ込んで治る状態です。3番目は、いままでは違和感だけであった症状に痛みが加わります。こうなると手術適応があります。4番目は、鼠径部が腫れてきて、押しても戻らない状態なると危険なサインです。持続的な疼痛・痛みがある場合、おなかの臓器が脱出して戻らない状態の場合は、陥頓という状態です。緊急手術になるような大変危険な状態です。鼠径ヘルニアに対する治療法は手術しかありません。手術は日帰りで行うこともできるようになっております。

 太田 勝也 医師
ヘルニアセンター長

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