ペインクリニック

帯状疱疹後神経痛(PHN)とは?

帯状疱疹の治療後も続く「しつこい神経痛」にご注意を

「皮疹は治ったのに、痛みが消えない…」「何ヶ月もヒリヒリ、ズキズキする…」
それは帯状疱疹後神経痛(PHN)かもしれません。

🧠 帯状疱疹後神経痛(PHN)とは?

帯状疱疹が治癒した後も、痛みが3か月以上続く状態を「帯状疱疹後神経痛(Post Herpetic Neuralgia:PHN)」と呼びます。
これはウイルスによって神経が損傷し、慢性的な神経障害性疼痛を引き起こす状態です。

🔍 痛みの特徴

帯状疱疹後神経痛の主な症状:

  • ピリピリ・チクチクするような持続的な痛み
  • 触れただけでも痛い(アロディニア)
  • 夜間や寒い時期に痛みが強くなる
  • 衣類の摩擦ですら苦痛を感じる

📊 発症リスクが高い人は?

条件 リスク傾向
年齢が高い(特に60歳以上) 神経の修復力が低下している
皮疹が重症 神経へのダメージが大きい
治療開始が遅れた ウイルスの活動が長引く
基礎疾患あり(糖尿病・がんなど) 神経が損傷しやすい体質

🩺 PHNの治療法

帯状疱疹後神経痛は慢性的な神経痛ですが、以下の治療法で痛みを和らげることが可能です。

🔹 神経障害性疼痛治療薬

  • プレガバリン(リリカ)
  • ガバペンチン
  • 三環系抗うつ薬(アミトリプチリンなど)

神経の過敏な反応を抑えることで痛みを緩和します。

🔹 外用薬・貼付薬

  • リドカインテープ(局所麻酔)
  • カプサイシン外用剤

皮膚から痛みを抑えるアプローチです。

🔹 補助療法

  • 漢方薬(抑肝散加陳皮半夏など)
  • 神経ブロック注射
  • 鍼灸・温熱療法

体全体のバランスや神経反応を整えます。

⏰ 放置してはいけない理由

  • 慢性化すると生活の質(QOL)が大きく低下
  • うつ症状や睡眠障害を引き起こすリスク
  • 痛みが脳に「記憶」されてさらに強く感じることも

早期治療と継続的なケアが非常に重要です。

💉 予防法:帯状疱疹ワクチンの重要性

帯状疱疹の発症を抑えることは、PHNの最も効果的な予防になります。

ワクチン名 タイプ 効果 推奨年齢
シングリックス 不活化ワクチン 約90%以上の予防効果 50歳以上
水痘ワクチン 生ワクチン 約50%の予防効果 50歳以上

🏥 当院の対応

当院では、PHNに対して薬物療法・神経ブロック・補助療法・生活指導などを組み合わせた包括的な疼痛管理を行っています。
痛みに対する不安や生活の困難も含め、全人的にサポートいたします。

🔚 まとめ

内容 ポイント
PHNとは 帯状疱疹治癒後も続く神経痛(3か月以上)
症状 ピリピリ・ズキズキ・触るだけで痛い
治療 薬物療法・貼付薬・補助療法など
放置リスク QOL低下・うつ・慢性疼痛化
予防 ワクチン接種が有効

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