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冬と肩の痛み・コリ―寒い季節に悪化しやすい理由と正しい対処法― | ペインクリニック

冬になると「肩が重い」「首から肩にかけて痛い」「頭痛まで出てくる」といった症状を訴える方が増えます。実は冬特有の環境変化が、肩の痛みやコリを強くしていることが少なくありません。寒さによる血行不良や姿勢の変化が主な原因ですが、適切な対処法を知ることで症状を和らげることができます。ここでは、原因からセルフケア、ペインクリニックでの治療法、医療機関を受診すべき目安まで、分かりやすく解説します。

冬に肩こり・肩の痛みが悪化する主な原因

寒さによる血行不良

寒いと体は熱を逃がさないよう血管を収縮させます。その結果、肩や首の筋肉への血流が低下し、疲労物質が溜まりやすくなります。血液は筋肉に酸素や栄養を運び、老廃物を回収する役割を担っているため、血流が悪くなると筋肉が硬くなり、痛みやコリを感じやすくなるのです。

無意識な「肩すくめ姿勢」

寒さを感じると、無意識に肩をすくめる姿勢になりがちです。これは体温を保とうとする自然な反応ですが、僧帽筋(そうぼうきん)という首から肩、背中にかけて広がる筋肉の持続的な緊張を生み、コリや痛みにつながります。

冬服による負担

コートやダウンジャケット、マフラーなどの重みが、首・肩に持続的な負荷をかけます。特にバッグを同じ肩に掛ける癖がある方や、厚手の上着を長時間着用する方は要注意です。

運動量の低下

寒さで外出や運動が減ると、筋肉が硬くなりやすく、肩こりが慢性化しやすくなります。デスクワークが中心の方は、さらに血流が滞りやすい環境にあると言えます。

放置すると起こりうる症状

「ただの肩こり」と軽視していると、次のような症状に発展することがあります。

  • 肩の痛みが首・背中・腕へ広がる
  • 緊張型頭痛や目の奥の痛み
  • 腕のだるさ、しびれ
  • 睡眠の質低下・疲労感の蓄積

慢性的な痛みは日常生活の質(QOL)を大きく下げ、仕事や家事のパフォーマンス低下にもつながります。早めの対処が大切です。

ペインクリニックで行う主な治療法

神経ブロック注射

痛みを伝える神経の周りに局所麻酔薬を注射することで、痛みの悪循環を断ち切る治療法です。肩こりや首の痛みに対しては、トリガーポイント注射などが用いられることがあります。注射の痛みは最小限に抑えられ、多くの場合は短時間で処置が終わります。

薬物療法

痛みや炎症を抑える内服薬、筋肉の緊張を和らげる筋弛緩薬、血流を改善する薬などを、症状に応じて組み合わせて使用します。

理学療法・リハビリテーション

マイクロ波治療では、電磁波の一種であるマイクロ波を患部に照射することで、体の深部まで温めることができます。体の表面だけでなく、筋肉や関節の奥深くまで熱が届くため、血行が促進され、筋肉の緊張がほぐれます。また、頸椎牽引では首の骨と骨の間を広げることで、神経への圧迫を和らげ、痛みの軽減を図ります。

冬の肩こり・肩の痛みに効果的なセルフケア

温める

蒸しタオルや入浴で首から肩を重点的に温めましょう。シャワーだけで済まさず、湯船に10〜15分ほどつかるのが理想です。38〜40℃のぬるめのお湯にゆっくり浸かることで、副交感神経が優位になりリラックス効果も得られます。

簡単ストレッチ(1日2〜3回)

  • 肩をすくめてストンと落とす動きを10回繰り返す
  • 首をゆっくり左右に倒す(反動をつけずに行う)
  • 両手を後ろで組み、肩甲骨を寄せる動きを意識する

痛みが強い場合は無理をせず、心地よいと感じる範囲で行いましょう。

冷やさない工夫

首元を温めるインナーやネックウォーマーを活用し、室内外の温度差にも注意します。エアコンの風が直接当たらないよう、座る位置を工夫することも大切です。

姿勢の見直し

デスクワーク時は画面の高さを目線に合わせ、肩に力が入っていないか、こまめにチェックしましょう。30分に1回は席を立って体を動かすことをおすすめします。

医療機関を受診したほうがよいケース

次のような場合は、単なる肩こりではない可能性があります。我慢せず、早めに整形外科やペインクリニックを受診しましょう。

  • 肩の痛みが強く、安静にしても改善しない
  • 腕や手にしびれ・力が入りにくい症状がある
  • 夜間痛があり、眠れないほど痛む
  • 頭痛や吐き気を伴う
  • 1週間以上セルフケアを続けても改善が見られない

ペインクリニックでは、筋肉・関節・神経の状態を専門的に評価し、薬物療法、リハビリ、注射治療など適切な対応が可能です。痛みの原因を正確に診断し、一人ひとりに合った治療計画を立てることができます。

まとめ

冬の肩こり・肩の痛みは、「寒さ×血行不良×姿勢・生活習慣」が大きく関係しています。

まずは「温める・動かす・冷やさない」という基本的なセルフケアから始めましょう。ただし、1週間程度続けても改善しない場合や、日常生活に支障が出るほどの痛みがある場合は、我慢せず医療機関へご相談ください。

寒い季節でも快適に過ごすために、早めの対策を心がけましょう。肩の痛みやコリでお困りの方は、専門的な評価を受けることで、適切な治療法が見つかることがあります。


よくあるご質問(FAQ)

Q1. 神経ブロックは痛いですか?

注射の針を刺すため、チクッとした痛みはありますが、多くの場合は短時間で終わります。局所麻酔を使うため処置中の痛みは軽減されます。

Q2. 神経ブロックの効果はどれくらい持続しますか?

個人差がありますが、数日から数週間持続する場合もあれば、複数回の治療で長期的に改善することもあります。症状の程度や体質、生活習慣によって異なるため、医師が経過を見ながら治療計画を調整します。

Q3. ペインクリニックはどんな症状で受診できますか?

腰痛、肩こり、坐骨神経痛、帯状疱疹後神経痛、頭痛、関節痛など、急性痛・慢性痛の両方に対応しています。「この程度の痛みで受診していいのか」と迷われる方もいらっしゃいますが、痛みを我慢する必要はありません。お気軽にご相談ください。

Q4. 肩こりで受診するのは大げさではないですか?

肩こりも立派な症状です。慢性化すると生活の質が大きく低下しますし、頸椎症や神経の圧迫など、他の病気が隠れていることもあります。特に、しびれや頭痛を伴う場合は、早めの受診をおすすめします。

Q5. 治療にはどれくらい通院が必要ですか?

症状の程度や治療内容によって異なります。軽度の場合は1〜2回の通院で改善することもありますが、慢性的な痛みの場合は数週間から数ヶ月かけて治療することもあります。初診時に医師が症状を評価し、おおよその治療期間をご説明します。

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