はじめに

「在宅で働く時間が増えてから、首が重くなった」「肩が張って辛い」「腰がだるくて椅子から立ちにくい」…そんな声をよく聞きます。実際に、テレワーク(リモートワーク・在宅勤務)という働き方の広がりとともに、首・肩・腰の不調を訴える人が増えており、「テレワーク痛」とも呼ばれることがあります。

この記事では、テレワーク時に「首・肩・腰」が痛く・コリやすくなるメカニズムを整理し、具体的な対策を紹介します。自宅で働くあなたの体調管理にぜひお役立てください。

1. なぜテレワークでは首・肩・腰がつらくなるのか?

● 長時間同じ姿勢による負荷

パソコン作業などで長時間同じ姿勢を続けると、筋肉が緊張し続け、血行が悪くなり、筋肉が硬くなるという「負のスパイラル」が起きます。特に在宅では「移動・立ち上がるタイミング」がオフィスより少なくなりがちで、座りっぱなしになりやすい点が問題です。

● 作業環境(椅子・机・画面)の最適でない組み合わせ

自宅では「ソファ+ラップトップ」「床座り+低めのテーブル」など、オフィス仕様とは異なる環境で作業するケースが多く、これが首・肩・腰への負担増につながります。例えば、キーボードが遠かったり、画面が低かったりすると、肩がすくんだり首が前に出たりしてしまいます。

● 首・肩・腰それぞれの特徴的な負担

部位別の主な問題

  • 首・肩:頭部や腕の重さを支える筋肉(肩甲骨まわり・僧帽筋など)に負担がかかり、姿勢の悪さ(頭が前に出る、肩が上がる)でより負荷が増します。
  • 腰:座り方が浅かったり、背もたれを使っていなかったりすると、腰椎・椎間板への負荷が高まります。長時間の座位が続くと腰痛・ヘルニアのリスクも。

2. テレワーク時の「正しい姿勢・環境づくり」のポイント

以下のポイントを意識することで、首肩腰のつらさを軽減する効果があります。

机・椅子・モニターのバランスを整える

  • 椅子の高さ・机の高さ・モニターの位置が合っていないと、無意識に体に負担をかけてしまいます。
  • モニターの中心が目線の高さあたりになるようにし、ノートパソコンだけで作業している場合は、外付けモニターやスタンドの活用を検討。
  • キーボードは肘が自然に90°程度に曲げられ、手首が極端に上に反らない位置に。腕の重みを肩で支えないよう、机の奥にキーボードを寄せるのもポイントです。

姿勢を整える

  • 背もたれを使ってしっかり腰を支え、骨盤を立てて座ることで背骨のS字カーブを維持。これにより腰や首への負担が軽くなります。
  • 頭が肩の真上にある状態を意識。頭が前に出る「首猫背」になると肩甲骨周りに過剰な負荷がかかります。

作業中も「動き」を取り入れる

  • 長時間同じ姿勢を続けないよう、1時間に1回は立ち上がったり軽い体の動きを入れたりしましょう。
  • 座ったままでも肩甲骨を動かしたり、腰をひねったりする簡単なストレッチを定期的に行うと効果的です。

3. 首・肩・腰の具体的なセルフケア(ストレッチ&動き)

📍 首・肩のストレッチ

  • 椅子に浅く腰掛け、左手を右肩に置き、右手で軽く頭を左にゆっくり傾けて10〜15秒キープ。左右交互に。
  • 背筋を伸ばして胸を開き、両手を組んで後ろに引くようにして肩甲骨を寄せる。15〜20秒キープ。
  • 肩を大きくゆっくり回す(前回し・後ろ回し各10回)。肩甲骨を意識しながら動かすことが重要。

📍 腰のストレッチ

  • 椅子に座ったまま背筋を伸ばし、背もたれを掴んで左右にゆっくりひねる。3~5セット。
  • 椅子の前で右足を伸ばして左膝を立て、背筋を保ったまま上体を前に傾けてハムストリングス(太もも裏)を伸ばす。左右2〜3回。
  • 立った状態で両手を腰に当て、ゆっくり後ろに反らす。腰の前面を伸ばすイメージで5〜10秒キープ。

🧘‍♀️ 運動・休憩タイム

  • 作業の合間に「1分だけ」立ち上がり、軽く背伸びや肩回しをするだけでも血行が促され、筋肉のこわばりが軽くなります。
  • 深呼吸を意識しながらゆっくり腰・肩・首を動かすことで、自律神経にも良い影響があります。
  • タイマーやアラームを設定して、定期的な休憩を習慣化することをおすすめします。

4. もし痛み・慢性的なコリが続いたら

こんな症状があれば要注意

長時間の座りっぱなしや姿勢の悪さを放置すると、腰部の椎間板に過度な圧がかかり、ヘルニアや坐骨神経痛につながるリスクがあります。

「いつもと違う、片側だけ強く痛む」「脚にしびれが出る」「首を動かすと激痛がある」「安静にしていても痛みが続く」などの兆候があれば、専門機関への相談も検討してください。

● 専門家への相談を検討すべきケース

  • 2週間以上痛みやコリが改善しない
  • 手足のしびれや感覚異常がある
  • 日常生活に支障が出るレベルの痛み
  • 夜間痛(夜寝ているときに痛みで目が覚める)
  • 姿勢や動作に関係なく常に痛い

整形外科、整骨院、理学療法などの専門家に相談することで、適切な治療やリハビリテーションを受けることができます。我慢せずに早めの対応が重要です。

5. まとめ

テレワーク時の首・肩・腰の痛み・コリは、作業環境・姿勢・休憩・動きの4つの要素で対策が可能です。毎日のちょっとした「姿勢調整」「机・椅子・モニターの見直し」「定期的なストレッチ・体の動き」が、慢性化を防ぎ、快適なリモートワーク時間を支えます。