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三叉神経痛とは|顔の激痛の原因・治療法を専門医が解説
顔の痛みでお悩みの方へ – 正しい知識と治療法について
三叉神経痛とは
三叉神経痛(さんさしんけいつう)は、顔の片側に電気が走るような強い痛みが突然出現する病気です。
痛みは通常、数秒から数分と短時間で収まりますが、その強さは「顔を刺されるよう」と形容されるほど激しいのが特徴です。
主に中高年女性に多く見られますが、どの年代にも起こり得ます。
三叉神経の仕組み
三叉神経は、顔の感覚(痛み・触覚・温度など)を脳へ伝える神経で、以下の3つの枝に分かれています。
- 眼神経(第1枝) … 目・額・頭部の感覚
- 上顎神経(第2枝) … ほほ・鼻・上唇の感覚
- 下顎神経(第3枝) … 下あご・下唇・口の感覚
この神経のどこかで圧迫や刺激が起きると、顔面に強い痛みが生じます。
主な原因
三叉神経痛の原因は大きく2つに分けられます。
① 原発性(三叉神経根の血管圧迫)
脳から出た三叉神経が、近くを通る血管(多くは動脈)に圧迫されて発症します。
血管の拍動が神経を刺激し、痛みが誘発されます。
② 続発性(他疾患によるもの)
脳腫瘍、多発性硬化症、帯状疱疹後神経痛などが原因となることがあります。
MRI検査で確認することが重要です。
症状の特徴
- 片側の顔(特に頬・あご・鼻まわり)に突然の鋭い痛み
- 「電気が走る」「針で刺される」ような激痛
- 数秒~数分で消えるが、繰り返し発作的に起こる
- 洗顔、歯みがき、化粧、風が当たるなどの刺激で痛みが誘発される
痛みの恐怖から顔に触れるのを避けるようになり、日常生活に支障が出ることもあります。
診断方法
三叉神経痛は、症状と神経学的検査により診断されます。
また、MRI検査で血管圧迫や腫瘍の有無を確認します。
鑑別が必要な疾患
- 顎関節症
- 歯の神経痛
- 帯状疱疹後神経痛
- 副鼻腔炎
治療方法
症状や原因により治療方針が異なります。
① 薬物療法
最初に行われるのは抗けいれん薬(カルバマゼピンなど)による治療です。
神経の異常な興奮を抑えることで痛みを軽減します。
近年は副作用の少ない新薬(オキシカルバゼピン、プレガバリンなど)も使用されます。
② 神経ブロック療法
薬で効果が不十分な場合、神経ブロック注射で痛みの伝達を遮断します。
特に再発を繰り返すケースで有効です。
③ 外科的治療(血管減圧術)
MRIで血管圧迫が確認される場合、微小血管減圧術(MVD)という手術を行うことがあります。
圧迫血管を神経から離すことで根本的な改善を目指します。
日常生活での注意点
- 冷風や強い刺激を避ける
- 十分な睡眠・ストレス管理を心がける
- 痛みが出たら我慢せず医療機関を受診する
- 歯科治療時には三叉神経痛があることを伝える
まとめ
三叉神経痛は「顔の痛み」の中でも最も強いといわれる疾患ですが、
適切な診断と治療によって多くの方が改善します。
早期受診が重要です
「歯が痛い」「頬がしびれる」といった症状でも、実は神経痛であるケースがあります。
早期受診・正確な診断が何より大切です。