目次
トリガーポイント注射 完全ガイド
慢性的な痛みとこりに対する効果的な治療法を徹底解説
トリガーポイント注射とは?
トリガーポイント注射(Trigger Point Injection: TPI)は、筋肉のこりや痛みの原因となる「トリガーポイント」に、局所麻酔薬などを直接注射して筋肉の緊張をほぐし、痛みを軽減する治療法です。
このような症状でお悩みではありませんか?
慢性的な肩こりや首のこりが続いている
マッサージや湿布では改善しない腰痛がある
頭痛が頻繁に起こる(特に後頭部や側頭部)
特定の動作で痛みが走る
痛む場所を押すと別の場所にも痛みが広がる
肩こり、腰痛、首の痛み、頭痛、坐骨神経痛様の症状など、慢性的な筋筋膜性疼痛(筋肉由来の痛み)に対して非常に有効とされています。従来の治療法で改善しなかった痛みに対しても、高い効果を発揮することがあります。
トリガーポイントの正体
トリガーポイントとは何か
トリガーポイントとは、筋肉の中にできる「しこり」「硬結」「索状硬結」のような部分で、触ると痛みが広がる(放散痛)という特徴があります。筋肉が過度に緊張し続けることで、局所的に血流が悪くなり、発痛物質が蓄積して形成されます。
トリガーポイントの特徴的な症状
関連痛(放散痛)
押すと離れた場所に痛みが走る現象です。痛みの原因と感じる場所が異なるため、診断が難しいことがあります。
局所的な圧痛
トリガーポイント自体を押すと、強い痛みを感じます。患者さん自身も「そこ!」と感じる場所です。
筋力低下
痛みのために筋肉が十分に機能せず、力が入りにくくなることがあります。
可動域制限
筋肉の硬結により、関節の動きが制限されます。
自律神経症状
発汗、立毛、めまい、耳鳴りなどを伴うこともあります。
具体的な痛みのパターン例
【例1】肩のトリガーポイント
僧帽筋上部のトリガーポイントが原因で、側頭部(こめかみ付近)や後頭部に頭痛が発生します。肩こりと頭痛が同時に起こる方に多いパターンです。
【例2】腰のトリガーポイント
腰方形筋や殿筋のトリガーポイントが、臀部から太ももの後ろ側、さらにふくらはぎまで痛みを放散させます。坐骨神経痛と間違えられやすい症状です。
【例3】首のトリガーポイント
胸鎖乳突筋のトリガーポイントが、耳の奥の痛み、めまい、目の奥の痛みを引き起こすことがあります。
トリガーポイントができる原因
長時間の同じ姿勢:デスクワーク、スマートフォンの長時間使用
筋肉の過負荷:重いものを持つ、激しい運動
外傷:打撲、むち打ち、捻挫後の筋肉の保護収縮
精神的ストレス:緊張による無意識の筋収縮
冷え:血行不良による筋肉の硬直
栄養不足:ビタミンB群、マグネシウムなどの不足
睡眠不足:筋肉の回復が不十分になる
治療の目的と期待できる効果
トリガーポイント注射の目的は、筋肉の異常な収縮を緩め、血流を改善し、痛みを軽減することです。注射により、筋肉内の循環が良くなり、酸素や栄養が供給され、痛み物質(ブラジキニン、ヒスタミン、セロトニンなど)の蓄積も減少します。
主な効果
即効性:注射後数分から数時間で痛みの軽減を実感できることが多い
筋肉のリラクゼーション:慢性的な筋肉のこりが改善される
血流改善:酸素と栄養の供給が増え、自然治癒が促進される
可動域の改善:関節の動きがスムーズになる
局所的で安全:神経ブロックよりも狙った部位に限定して施行可能
日常生活への影響が少ない:治療後すぐに帰宅でき、大きな制限がない
繰り返し施行可能:副作用が少なく、必要に応じて複数回受けられる
効果が現れるメカニズム
局所麻酔薬の効果
痛みの伝達を一時的にブロックし、筋肉の異常な収縮サイクルを断ち切ります。
物理的な刺激
針を刺すこと自体が、硬結を物理的にほぐし、筋膜リリースのような効果をもたらします。
血流の改善
筋肉が緩むことで血管が拡張し、血流が増加します。これにより発痛物質が洗い流されます。
神経の感作解除
慢性的な痛みによって過敏になっていた神経が正常化します。
対象となる症状・疾患
症状・疾患 | 詳細説明 | 効果 |
---|---|---|
肩こり・首こり | 長時間のデスクワークやスマホ操作による筋緊張。僧帽筋、肩甲挙筋、菱形筋などにトリガーポイントが形成される。 | ◎ |
慢性腰痛 | 筋肉由来の慢性腰痛(ぎっくり腰後の残存痛、長時間立ち仕事による腰痛など)。腰方形筋、多裂筋、脊柱起立筋群が対象。 | ◎ |
緊張型頭痛 | 首や肩の筋緊張が原因で起こる頭痛。後頭部、側頭部、額の痛み。頭部を締め付けられるような痛みが特徴。 | ◎ |
偽坐骨神経痛 | 実際には筋肉が原因の痛み。殿筋群(特に梨状筋)のトリガーポイントが下肢に放散痛を引き起こす。 | ◎ |
五十肩 | 肩関節周囲炎に伴う筋肉の痛みと可動域制限。棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋などが対象。 | ○ |
顎関節症 | 咀嚼筋(咬筋、側頭筋)のトリガーポイントによる顎の痛み、開口障害。 | ○ |
スポーツ障害 | 過度のトレーニングや不適切なフォームによる局所的な筋拘縮。テニス肘、野球肘、ランナー膝など。 | ○ |
線維筋痛症 | 全身の慢性疼痛を伴う疾患。トリガーポイント注射が補助的な治療として使用される。 | △ |
注意:椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など、神経が圧迫されている場合は、トリガーポイント注射だけでは根本的な改善が難しいことがあります。まずは医師の診察を受け、正確な診断を受けることが重要です。
治療の流れ(詳細版)
問診・診察
まず、痛みの部位、いつから痛むか、どのような時に痛むか、過去の治療歴などを詳しく聞き取ります。日常生活や仕事での姿勢、運動習慣なども確認します。
触診・トリガーポイントの特定
医師が痛みの部位を丁寧に触診し、トリガーポイントを特定します。圧痛点を押すと、患者さんが「そこです!」と反応する場所や、離れた部位に痛みが放散する点を確認します。これを「ジャンプサイン」と呼びます。
治療方針の説明・同意
治療内容、使用する薬剤、予想される効果、起こりうる副作用について説明を受けます。不明点や不安があれば、この段階で遠慮なく質問しましょう。
注射部位の消毒
感染予防のため、アルコールまたは消毒液で皮膚を丁寧に消毒します。清潔な環境で施行されるため、感染のリスクは極めて低いです。
局所麻酔薬などの注入
細い針(通常23〜27ゲージ)で筋肉内のトリガーポイントに注射を行います。針が筋肉の硬結に当たると、独特の抵抗感や「ズーン」とした感覚がありますが、これは正常な反応です。通常は数秒〜30秒程度で完了します。注射本数は部位や症状により異なりますが、1〜5箇所程度が一般的です。
効果の確認
注射直後から、可動域の改善や痛みの軽減を確認します。肩の場合は腕を上げてもらったり、腰の場合は前屈してもらったりして、改善度を評価します。多くの患者さんが「軽くなった」「動かしやすい」と即座に実感されます。
治療後の指導
治療後の注意点、ストレッチ方法、次回の治療時期などについて説明を受けます。必要に応じて、軽いマッサージやストレッチ、温熱療法を併用することもあります。
所要時間:初診の場合は問診を含めて30分〜1時間程度。2回目以降は10〜20分程度で終了することが多いです。
使用される薬剤と選択基準
主な薬剤の種類
局所麻酔薬(リドカイン、メピバカインなど)
最も一般的に使用される薬剤。痛みの伝達を遮断し、筋肉の緊張を緩めます。効果発現が早く(数分以内)、持続時間は1〜3時間程度ですが、トリガーポイントの悪循環を断ち切ることで、より長期的な効果が期待できます。濃度は通常0.5〜1%が使用されます。
ステロイド薬(トリアムシノロン、ベタメタゾンなど)
炎症が強い場合に局所麻酔薬と併用されます。抗炎症作用により、より長期的な痛みの軽減が期待できます。ただし、頻繁な使用は避けるべきで、通常は月1回程度までとされています。腱への注射は腱断裂のリスクがあるため避けられます。
生理食塩水
薬剤を使用せず、生理食塩水のみを注入する方法。物理的な刺激と筋膜リリース効果を狙います。薬剤アレルギーがある方や、繰り返しの治療が必要な場合に選択されることがあります。
ボツリヌス毒素(ボトックス)
難治性の筋緊張や、頻繁に再発するトリガーポイントに対して使用されることがあります。筋肉の過度な収縮を抑制し、3〜6ヶ月程度の長期効果が期待できます。ただし、保険適用外の場合が多く、費用が高額になります。
ドライニードリング
薬剤を注入せず、針を刺すだけの手技。鍼治療に似ていますが、より深く筋肉内のトリガーポイントを狙います。薬剤の副作用を避けたい場合に選択されます。
薬剤選択の基準
医師は以下の要素を考慮して薬剤を選択します:
痛みの強さ:急性で強い痛みには局所麻酔薬が有効
炎症の有無:炎症が強い場合はステロイドを併用
治療回数:頻繁な治療が必要な場合は生理食塩水やドライニードリングを選択
患者の体質:アレルギー歴、薬剤過敏症の有無
費用:保険適用の有無、患者の経済的負担
治療頻度と回数の目安
症状の重症度や個人差により異なりますが、一般的には以下のような治療計画が立てられます。
急性期(発症から1〜2週間)
頻度:週1〜2回
回数:2〜4回程度
目的:急性の痛みと炎症を抑え、悪循環を断ち切る
回数:2〜4回程度
目的:急性の痛みと炎症を抑え、悪循環を断ち切る
慢性期(数ヶ月以上続く痛み)
頻度:1〜2週間に1回
回数:4〜8回程度(症状により変動)
目的:長期的な筋肉の状態改善、再発予防
回数:4〜8回程度(症状により変動)
目的:長期的な筋肉の状態改善、再発予防
維持期(症状改善後)
頻度:月1回程度、または症状が再発した時
回数:必要に応じて
目的:症状の再発予防、良好な状態の維持
回数:必要に応じて
目的:症状の再発予防、良好な状態の維持
重要なポイント:トリガーポイント注射は、注射だけに頼るのではなく、生活習慣の改善(姿勢、運動、ストレス管理)やリハビリテーション(ストレッチ、筋力強化)を併用することで、より高い効果と長期的な改善が期待できます。
効果が現れるまでの期間
即時効果:注射直後〜数時間以内に痛みの軽減を実感(60〜80%の患者)
短期効果:1〜3日後に最大の効果(筋肉の緊張が完全に緩む)
長期効果:複数回の治療により、数週間〜数ヶ月持続する改善
副作用・リスク・注意点
トリガーポイント注射は安全性の高い治療ですが、まれに以下のような副作用やリスクが見られることがあります。
よくある軽度の副作用(5〜20%程度)
注射部位の軽い痛み・圧痛:1〜3日程度で自然に消失
内出血(皮下出血):青あざができることがあるが、1〜2週間で消える
一時的な筋肉痛・だるさ:筋肉がほぐれる過程で生じる、2〜3日で改善
注射直後のふらつき:緊張や痛みによる一時的な自律神経反応
まれな副作用(1%未満)
感染:清潔操作により極めてまれだが、赤み・腫れ・発熱があれば受診
アレルギー反応:局所麻酔薬に対するアレルギー(発疹、かゆみ、呼吸困難)
気胸:胸部や肩の注射時に極めてまれに発生(呼吸困難が出たらすぐ受診)
神経損傷:一時的なしびれや感覚異常(通常は数日〜数週間で回復)
血管迷走神経反射:注射の刺激で血圧低下、気分不良(横になれば回復)
治療当日の注意点
安静
治療後30分〜1時間程度は安静にし、様子を見ます。激しい運動は避けてください。
入浴
当日の長湯は避け、シャワー程度にしましょう。翌日からは通常通り入浴可能です。
飲酒
当日の飲酒は控えましょう。血流が増加し、内出血や痛みが増す可能性があります。
運転
ふらつきや痛みがある場合は運転を避け、公共交通機関を利用してください。
冷却
痛みや腫れがある場合は、保冷剤をタオルで包んで冷やすと効果的です(15分程度)。
こんな症状が出たらすぐに受診
強い痛みが続く、または悪化する
注射部位が赤く腫れて熱を持つ
発熱(38度以上)がある
呼吸が苦しい、息切れがする
全身に発疹が出る、じんま疹が出る
しびれや麻痺が強くなる、または消えない
治療を受けられない、または注意が必要な方
局所麻酔薬にアレルギーがある方
注射部位に感染や皮膚疾患がある方
出血傾向がある方、抗凝固薬を服用中の方
妊娠中・妊娠の可能性がある方(要相談)
重度の糖尿病で血糖コントロールが不良な方
ステロイド注射の場合:感染症、骨粗鬆症、緑内障の方は要注意
他の治療法との詳細比較
治療法 | 特徴・メカニズム | 即効性 | 侵襲性 | 持続効果 | 適応 |
---|---|---|---|---|---|
トリガーポイント注射 | 筋肉内のトリガーポイントに直接注射。局所的で安全性が高い。 | ◎ | 低 | 中〜長期(数週間〜数ヶ月) | 筋筋膜性疼痛 |
神経ブロック注射 | 神経近くに注射し、痛みの伝達を広範囲に遮断。効果は強力だが技術を要する。 | ◎ | 中 | 中〜長期(数週間〜数ヶ月) | 神経痛、帯状疱疹後神経痛 |
鍼治療 | 細い針でツボや筋肉を刺激。薬剤を使わないため副作用が少ない。 | ○ | 低 | 中期(数日〜数週間) | 幅広い痛み、自律神経症状 |
物理療法 | 温熱・電気・超音波などで筋肉の血流改善。非侵襲的で安全性が極めて高い。 | △ | 低 | 短期(数時間〜数日) | 軽度の筋緊張、急性期の補助 |
マッサージ・手技療法 | 筋肉を直接揉みほぐす。リラクゼーション効果も高い。 | ○ | 低 | 短〜中期(数日〜1週間) | 軽度〜中等度の筋緊張 |
内服薬 | 鎮痛剤、筋弛緩剤など。全身に作用するため副作用に注意。 | ○ | 低 | 短期(服用中のみ) | 急性期の痛み、炎症 |
運動療法 | ストレッチ、筋力強化。根本的な改善に不可欠だが効果は緩やか。 | △ | 低 | 長期(継続的な改善) | 慢性痛の予防、再発防止 |
最適な治療法の選択:トリガーポイント注射は、即効性と安全性のバランスが優れており、繰り返し行いやすい点が特徴です。ただし、最も効果的なのは、注射と運動療法、生活習慣の改善を組み合わせた「複合的アプローチ」です。
費用と保険適用について
保険適用の場合
トリガーポイント注射は、医師の診断により健康保険が適用されます。
3割負担の場合:初診で約1,500円〜3,000円程度
再診の場合:約1,000円〜2,000円程度
注射本数:複数箇所でも費用はあまり変わらない
※診察料、処置料、薬剤費を含む。医療機関により若干異なります。
自費診療の場合
一部の美容目的やボトックス注射など、保険適用外の場合は全額自己負担となります。
ボトックス注射:1箇所あたり10,000円〜30,000円程度
自費診療の場合:1回あたり5,000円〜10,000円程度
費用を抑えるポイント
保険適用の医療機関を選ぶ(整形外科、ペインクリニック、内科など)
初診時に紹介状があると、初診料が安くなることがある
定期的な通院で再発を防ぎ、長期的な治療費を抑える
生活習慣の改善やセルフケアを併用し、治療回数を減らす
自宅でできるセルフケアと予防法
トリガーポイント注射の効果を長持ちさせ、再発を防ぐために、日常生活でのセルフケアが非常に重要です。
ストレッチ(毎日実施)
首のストレッチ:ゆっくりと首を前後左右に倒し、各方向10秒キープ
肩のストレッチ:肩を大きく回す、肩甲骨を寄せる動作を10回
腰のストレッチ:仰向けで膝を抱える、体を左右にひねる動作
ポイント:痛みを感じない範囲で、ゆっくりと呼吸しながら行う
温熱療法
入浴:38〜40度のぬるめのお湯にゆっくり浸かる(15〜20分)
温湿布・カイロ:痛む部位を温める(低温やけどに注意)
ホットタオル:濡らしたタオルを電子レンジで温め、患部に当てる
注意:急性期(炎症が強い時)は冷やす方が効果的な場合もある
姿勢の改善
デスクワーク時の姿勢
椅子に深く座り、背もたれを使う。モニターは目線の高さに。キーボードは肘が90度になる位置に。30分に1回は立ち上がって体を動かす。
スマートフォン使用時
スマホを目の高さまで上げて見る。下を向き続けない。長時間使用は避け、こまめに休憩を入れる。
睡眠時の姿勢
自分に合った枕を使用。横向きで寝る場合は、膝の間にクッションを挟む。うつ伏せ寝は首に負担がかかるため避ける。
生活習慣の改善
適度な運動:ウォーキング、水泳、ヨガなど無理のない運動を週3回
十分な睡眠:7〜8時間の質の良い睡眠で筋肉の回復を促す
ストレス管理:深呼吸、瞑想、趣味の時間を持つ
禁煙:タバコは血流を悪化させ、筋肉の回復を妨げる
適度な水分補給:1日1.5〜2リットルを目安に
栄養面でのサポート
筋肉の健康に役立つ栄養素
マグネシウム:筋肉の緊張を緩和(ナッツ、海藻、大豆製品)
ビタミンB群:神経機能のサポート(豚肉、レバー、玄米)
ビタミンD:筋肉の機能維持(魚、きのこ、日光浴)
タンパク質:筋肉の修復と維持(肉、魚、卵、大豆製品)
オメガ3脂肪酸:炎症を抑える(青魚、亜麻仁油、くるみ)
セルフマッサージ
痛みがある部位を、指や手のひらで優しく圧迫したり、円を描くようにマッサージします。強く押しすぎないように注意し、心地よいと感じる程度の圧で行います。テニスボールやフォームローラーを使うのも効果的です。
よくある質問(FAQ)
Q1: 注射は痛いですか?
針を刺す瞬間にチクッとした痛みがありますが、細い針を使用するため、採血程度の痛みです。トリガーポイントに針が当たると、「ズーン」とした独特の感覚(得気感)がありますが、これは効いている証拠です。多くの患者さんが「思ったより痛くなかった」と感じられます。
Q2: 効果はどのくらい持続しますか?
個人差がありますが、急性期では数日〜2週間、慢性期では2週間〜数ヶ月持続することが多いです。複数回の治療を重ねることで、効果の持続期間が長くなる傾向があります。生活習慣の改善やストレッチを併用すると、より長期的な効果が期待できます。
Q3: 何回くらい受ければ良くなりますか?
症状により異なりますが、急性期では2〜4回、慢性期では4〜8回程度で改善が見られることが多いです。1回で劇的に改善する方もいれば、継続的な治療が必要な方もいます。医師と相談しながら、最適な治療計画を立てましょう。
Q4: 鍼治療とどう違いますか?
どちらも筋肉に針を刺す点は同じですが、トリガーポイント注射は局所麻酔薬などを注入するため、即効性が高いのが特徴です。鍼治療は薬剤を使わないため副作用が少なく、全身のバランスを整える効果があります。どちらが良いかは症状や好みによります。
Q5: 治療後すぐに仕事や運動はできますか?
軽いデスクワークや日常生活は問題ありません。ただし、激しい運動や重労働は当日は避けることをお勧めします。翌日からは通常通りの活動が可能です。治療後に軽いストレッチや歩行を行うと、効果が高まることがあります。
Q6: 保険は使えますか?
はい、医師の診断により健康保険が適用されます。3割負担の場合、初診で1,500円〜3,000円程度です。ただし、美容目的や一部の自費診療では保険適用外となります。受診前に医療機関に確認することをお勧めします。
Q7: 妊娠中でも受けられますか?
妊娠中の方は、使用する薬剤や注射部位により注意が必要です。特に妊娠初期は慎重に判断されます。必ず医師に妊娠の可能性を伝え、相談してください。妊娠中は、マッサージやストレッチなどの代替療法が推奨されることもあります。
Q8: 高齢者でも安全ですか?
はい、高齢者でも安全に受けられます。むしろ、高齢者に多い慢性的な筋肉痛や関節痛に効果的です。ただし、骨粗鬆症や糖尿病、血圧の薬を服用している場合は、医師に事前に伝えることが重要です。
Q9: どこの医療機関で受けられますか?
整形外科、ペインクリニック、麻酔科、リハビリテーション科などで受けられます。事前に電話で「トリガーポイント注射を行っているか」を確認すると良いでしょう。専門医がいるクリニックや病院を選ぶことをお勧めします。
Q10: 効果がない場合はどうすれば良いですか?
トリガーポイント注射で効果が見られない場合、他の原因(椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、内臓疾患など)が隠れている可能性があります。医師に相談し、MRIやCTなどの精密検査を受けることをお勧めします。また、他の治療法(神経ブロック、理学療法、心理的アプローチなど)を組み合わせることも検討しましょう。
良い医療機関・専門医の選び方
チェックポイント
専門性:整形外科専門医、ペインクリニック専門医の資格を持っている
経験:トリガーポイント注射の実績が豊富
説明:治療内容やリスクについて丁寧に説明してくれる
触診:しっかりと患部を触診し、トリガーポイントを正確に見つける
総合的アプローチ:注射だけでなく、生活指導やリハビリも提案してくれる
清潔な環境:院内が清潔で、感染対策がしっかりしている
アクセス:通いやすい立地(定期的な通院が必要なため)
初診時に確認すべきこと
治療方針
どのような治療計画を立てているか、何回程度の治療が必要か確認しましょう。
使用する薬剤
どのような薬剤を使用するか、アレルギーの有無を伝えましょう。
費用
保険適用の有無、概算費用を確認しましょう。
副作用・リスク
起こりうる副作用やリスクについて説明を受けましょう。
代替療法
他にどのような治療法があるか、併用できる治療はあるか確認しましょう。
まとめ:トリガーポイント注射を検討すべき方
こんな方にトリガーポイント注射がおすすめです
慢性的な肩こり、腰痛、首の痛みに悩んでいる
マッサージや湿布では改善しない痛みがある
頭痛が頻繁に起こり、日常生活に支障がある
痛みのせいで仕事や家事に集中できない
即効性のある治療を希望している
副作用の少ない治療法を探している
他の治療法で効果が得られなかった
トリガーポイント注射の最大の特徴は、「筋肉のこり・痛みを根本から緩和する」「即効性がある」「副作用が少ない」「日常生活への影響が少ない」という4つの利点です。
慢性的な痛みでお悩みの方は、原因が筋肉にある場合も多く、トリガーポイント注射が有効なケースがあります。痛みを我慢せず、専門医に相談してみましょう。
重要なポイント:トリガーポイント注射は、あくまで痛みを軽減する「対症療法」です。根本的な改善のためには、姿勢の改善、適度な運動、ストレス管理、十分な睡眠など、生活習慣の見直しが不可欠です。注射と生活改善を組み合わせることで、最大の効果が得られます。
医師への相談をお勧めする症状:
痛みが日に日に強くなる
しびれや麻痺を伴う
発熱や体重減少がある
夜間に痛みで目が覚める
排尿・排便障害がある
これらの症状がある場合は、トリガーポイント以外の重大な疾患が隠れている可能性があります。速やかに医療機関を受診してください。
痛みは「我慢するもの」ではありません。適切な治療を受けることで、快適な日常生活を取り戻すことができます。トリガーポイント注射は、多くの方の痛みを和らげてきた実績のある治療法です。
まずは専門医に相談し、自分に合った治療法を見つけましょう。痛みのない快適な生活を目指して、一歩踏み出してみませんか?