「冬になると腰や肩が痛む」「寒い朝は関節がこわばる」——そんな経験はありませんか?実は、寒さによる痛みの悪化には、血管の収縮や筋肉の緊張といった明確な生理学的メカニズムが関わっています。この記事では、冬に痛みが増す原因をわかりやすく解説し、ペインクリニックでの治療法や日常生活でできるセルフケアをご紹介します。

冬に痛みが強くなる生理学的メカニズム

血管が縮んで血流が悪くなる

私たちの体は、寒さを感じると体温を逃がさないように血管を細くします。これを医学的には「末梢血管収縮」(まっしょうけっかんしゅうしゅく)と呼びます。簡単に言えば、体の表面近くを流れる血液の通り道が狭くなる反応です。血流が減ると、筋肉や関節に届く酸素や栄養が不足し、老廃物がたまりやすくなります。その結果、痛みを引き起こす物質(ブラジキニンやプロスタグランジンなど)が局所に蓄積し、痛みやこわばりを感じやすくなるのです。

筋肉の緊張と交感神経の活性化

寒い環境では、体が無意識に筋肉を緊張させて熱を生み出そうとします。この状態が長く続くと、筋肉が硬くなり血行不良がさらに進みます。同時に、寒冷刺激は「交感神経」(こうかんしんけい=体を活動モードにする自律神経の一種)を強く刺激します。交感神経が活性化すると血管がさらに収縮し、痛みに対する感度も高まるため、普段なら気にならない程度の刺激でも痛みを感じやすくなります。

📌 ポイント

寒さ → 血管収縮+筋緊張 → 血行不良 → 発痛物質の蓄積 → 痛みの悪化、という一連の流れが冬の痛みの正体です。

気圧の変化と関節への影響

冬は低気圧が通過しやすい季節でもあります。気圧が下がると、関節内の圧力バランスが変化し、関節包(関節を包んでいる袋状の組織)がわずかに膨張する場合があります。これが関節周囲の神経を刺激し、関節痛として感じられることがあります。また、気圧の変動は自律神経のバランスにも影響を与え、痛みの閾値(いきち=痛みを感じ始める境界)を低下させる可能性が報告されています。


寒さと自律神経の関係について、詳しくは「自律神経と痛みの関係」のページをご覧ください

ペインクリニックで行う主な治療法

冬の痛みが日常生活に支障をきたしている場合や、市販の鎮痛薬では改善しにくい場合には、ペインクリニック(痛み専門の診療科)の受診を検討してみてください。以下に代表的な治療法をご紹介します。

トリガーポイント注射

寒さで硬くなった筋肉の中には、押すと強い痛みが広がる硬いしこり(トリガーポイント)ができることがあります。トリガーポイント注射は、この痛みの発生源に直接、少量の局所麻酔薬を注射する治療法です。硬くなった筋肉をピンポイントでほぐし、局所の血流を回復させることで痛みの改善を目指します。冬場に悪化しやすい肩こりや首のこわばり、腰の重だるさ、緊張型頭痛などに対して用いられることがあります。

処置は外来で短時間のうちに行えるものが多く、日常生活への影響が少ないのが特徴です。注射後に一時的なだるさや注射部位の軽い痛みが出ることがありますが、通常は短期間でおさまります。痛みの原因や状態に応じて、複数回にわたり治療を行うこともあります。

薬物療法・物理療法の併用

症状に応じて、消炎鎮痛薬や筋弛緩薬(きんしかんやく=筋肉の緊張を和らげる薬)の内服を組み合わせることもあります。また、温熱療法を併用し、血行の促進と痛みの軽減を総合的にサポートする場合もあります。

日常生活でできる冬の痛み対策

医療機関での治療と合わせて、日常生活でも痛みを予防・軽減するための工夫が大切です。以下のセルフケアを取り入れてみましょう。

  1. 体を冷やさない工夫:首・手首・足首の「3つの首」を重点的に保温しましょう。これらの部位は皮膚のすぐ下を太い血管が通っているため、ここを温めると全身の血行維持に役立ちます。
  2. 入浴で体を芯から温める:38〜40℃のぬるめのお湯に15分ほど浸かると、副交感神経(リラックスモードの神経)が優位になり、血管が拡張して血流が改善しやすくなります。
  3. 適度な運動を習慣にする:ウォーキングやストレッチなどの軽い運動は、筋肉のポンプ作用で血流を促進し、筋緊張の予防につながります。寒い時期も室内でできる運動を取り入れてみてください。
  4. バランスの良い食事を心がける:ビタミンEや鉄分など、血行を支える栄養素を意識的に摂ることも大切です。生姜や根菜類など、体を温めるとされる食材も上手に活用しましょう。
⚠ 注意

痛みが長期間続く場合や、しびれ・発熱を伴う場合は自己判断での対処を続けず、早めに医療機関を受診することをおすすめします。

まとめ|冬の痛みは我慢せずに早めの対処を

冬に体の痛みが強くなる原因には、血管収縮による血行不良、筋肉の過緊張、交感神経の活性化、気圧変動による関節への影響など、複数の生理学的要因が関係しています。「寒いから仕方ない」と放置せず、まずは日常のセルフケアで予防を心がけ、それでも改善しない場合にはペインクリニックへの相談を検討してみてください。

こんな方はお気軽にご相談ください

冬になると決まって腰・肩・膝が痛む方、市販の鎮痛薬を飲んでも痛みが引かない方、痛みで夜よく眠れないという方は、一度ペインクリニックでご相談されることをおすすめします。痛みの原因と状態を丁寧に評価し、一人ひとりに合った治療プランをご提案いたします。

よくあるご質問(FAQ)

注射の針を刺すため、チクっとした痛みはあります。ただし、使用する針は細く、処置自体も短時間で終わることがほとんどです。痛みに不安がある方は、事前に担当医へお気軽にご相談ください。

効果の持続期間には個人差があります。1回の注射で数日〜数週間、痛みが和らぐ場合もあれば、複数回の治療を重ねることで長期的に改善していくケースもあります。症状の種類や体質によって異なるため、担当医と治療計画を相談されることをおすすめします。

注射部位に一時的な痛みやだるさ、内出血が生じることがあります。いずれも通常は数日以内におさまりますが、気になる症状が続く場合は担当医にご相談ください。

腰痛、肩こり、坐骨神経痛、帯状疱疹後神経痛、頭痛、関節痛など、急性・慢性を問わずさまざまな痛みに対応しています。「この痛みで行っていいのかな?」と迷われる方も、まずはお気軽にご相談ください。

もちろんです。季節性の痛みであっても、その背景に血行不良や神経の過敏化などの原因がある場合があります。痛みの原因を正しく評価し、適切な治療や生活指導につなげることが大切です。

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の治療効果を保証するものではありません。症状には個人差があり、治療法は患者さまの状態に応じて異なります。詳しくは担当医にご相談ください。本記事の内容は医療広告ガイドラインに準拠して作成しています。