Q; 診察から帰ってきた父が医師から鼠径ヘルニアと診断されたそうです。手術を迷っているのですが、すぐに手術を薦めた方が良いですか。
A; 立つ、歩く時に鼠径部が膨らみますが、寝ると治るという症状があります。これは、鼠径ヘルニアです。『脱腸』とも呼ばれています。症状によって手術を早めに考えましょう。とくに、① 痛み ② 日常生活に支障をきたす人 ③ 出っ張りを押しても簡単には戻らないような変化がある場合、これらの症状は、早めに手術を考えた方が良いです。
治療法は手術しかありませんので、手術をお薦めします。体の構造が原因で、内部の臓器が穴から飛び出して発生するのが鼠径ヘルニアです。対処法は、損傷した体の構造を修復し、穴を塞いで補強する手術が行われております。手術は2つの方法があります。1つ目は、皮膚を切開する手術です。鼠径部を7㎝ほど切開し、開腹して修復します。これを前方到達法と呼んでおります。2つ目は、おへその小さな傷からカメラを挿入し修復します。腹腔鏡手術と呼ぶ手術の方法です。近年、鼠径ヘルニアに対して腹腔鏡手術が積極的に取り入れられております。どちらも鼠径ヘルニアを修復することを目的に開発された優れた方法で、病気を治すというゴールは一緒です。この手術を託すには、実績と同時に、手術のメリットとデメリットを丁寧に解説してくれる医師や医療機関が良いでしょう。現在お悩みの症状を一刻も早く治し、元の生活に戻ることができることを願っております。
太田 勝也 医師 ヘルニアセンター長